【そもそも編】ノーコードのAI検査システムは当たり前になるのか?

画像検査にノーコードのシステムを用いる必要性があるのでしょうか?
製造ラインに合わせて検査装置を都度設計するように、なぜ毎回検査ソフトウェアを作り直してはいけないのでしょうか?

エクセルとMENOUの意外な共通点
一つヒントになるのが、「表計算ソフト」です。
私たちが毎日使用する表計算ソフトの元祖はVisiCalcというソフトでした。高価な会計ソフトを使わなくても会計業務ができることが評価され、ユーザーを獲得しました。そして その後、Lotus 1-2-3やMicrosoft Excelなど、より使いやすい表計算ソフトが登場し、プログラミングの知識がなくても複雑な計算や分析が可能になりました。
表計算ソフトは、定形的な業務において会計ソフトに劣るかもしれませんが、次の点ではるかに優秀です。

  • シミュレーションができる→ つまり予算を変えてみたらどうなる、といった「タラレバ」が気軽に手元で行えます
  • 非公式な分析ができる→ 正式な計算書に表れる数字以外に、より細かく分析したり、違う観点での分析が可能になります
  • 中身がわかる→ 専用ソフトだと正確に結果を出すことはできますが、どのような計算が行われているかはブラックボックスです。表計算ソフトでは、どのような手順で解析や計算が行われているのかが読めますので、ノウハウが伝承できます

表計算ソフト同様に、パソコンのOSもコマンドラインインターフェース(CLI)から、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)へと進化していきました。MS-DOSでのコマンド入力からWindowsでのマウス操作へと移行することで、より直感的な操作が可能になり、多くのユーザーがパソコンを扱えるようになりました。

画像検査システムでは?

同様の変革は、画像検査システムの世界でも起きつつあります。従来、画像処理のアルゴリズムを実装するには、C++やPythonなどのプログラミング言語での開発が必要でした。しかし、製造現場では、検査項目や基準値の変更などに迅速に対応する必要があります。プログラマーに依頼して都度コードを修正していては、生産性が大きく低下してしまいます。一部のプログラミングができるエンジニアに仕事が集中してしまっている状況は多くの会社で起きています。
ベンダーにアウトソースしていても同じです。毎回要件定義や費用見積もりを行うコストは馬鹿にできませんし、特定のベンダーにロックされてしまうのは大きなリスクです。

MENOUのようなノーコードの画像検査システムは、表計算ソフトが会計業務を民主化したように、画像処理の実装を製造現場のエンジニアの手に委ねることを可能にします。直感的なGUIを通じて、画像処理のパラメータを調整したり、検査ロジックを組み立てたりすることができます。

例えば、ある自動車部品メーカーでは、品質管理担当者が独自に検査条件を設定し、製品の微細な傷や変形を検出するシステムを構築しています。プログラミングの専門知識がなくても、現場のノウハウを直接システムに反映させることができるのです。

このように、ノーコードツールは「専門知識の民主化」を実現する強力な手段となっています。それは単なる省力化だけでなく、現場の知見をより効果的にシステムに活かすことを可能にするのです。さらに、表計算ソフトと同様に他のメリットもあります。

  • シミュレーションができる→ 検査項目や基準を変えてみたときの、精度や歩留まりを短期間で評価でき、チューニングや改良に必要な工数が劇的に減らせます
  • 非公式な分析ができる→ NGではないが望ましくない製品の状況なども含めて、不良の分析ができます
  • 中身がわかる→ NGの理由がブラックボックスではなく、どのような理由でNGとなったのかを詳しく知ることができ、検査工程の設計ノウハウが伝承できます
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