壊れないハードウェア、変わらないサプライチェーンはありません。
必ず日々何か変化します。
その変化は許容出来るのか、出来ないのか適切なタイミングで確認する必要があります。
人間による目視検査であれば、検査員の記録をつけて、担当が変わったなどの記録を残します。
担当や手順を勝手に変えたなど後から参照すべきものがあります。
しかし、計測システムではどうでしょう。
導入して以来ずっと同じ調子でしょうか?
人間であれば風邪をひいたなどの自己申告がありますが、機械は申告してくれませんし、
異常が外からわからない場合がほとんどです。
そこで、校正という健康診断的な業務により、
検査結果が正しく動いた結果ということを保証する必要があります。
本記事では、目視からいきなりAIで自動化した方に向けて、
どのように装置を維持すればよいかの解説を記します。
- 校正とは?
- 校正は、計測器の精度や正確性を確認するプロセスです。
計測器は時間と使用によって変化することがありますので、校正はその変化を評価し、
期待した性能を維持できているのか確認が必要です。 - また、測定条件や環境の変化によっても計測結果が影響を受けることがあります。
変化の範囲を把握することで、製造トラブルの際に製造品質なのか計測システムの問題なのか切り分けることができます。
- 校正は何をするの?
- 定期的に基準となる測定器や基準ワークを使用し、計測器の出力結果を比較します。
例えば、システム立ち上げの際に用意したワークを毎年判定し、結果にブレが生じないか確認します。
比較が一定になるよう、設定や測定条件、基準との比較方法など手順化が必要です。
一般的には、日常点検や定期点検の内容と重複することが多く、
誰がいつ確認を実施したか?手順が守られているか?等を確認する機会の一つもなります。
- 校正の頻度は?
- 校正の頻度は、計測器の使用頻度や重要度、MENOUの推奨事項、規制要件などに基づいて決定されます。
- 要件毎に変わるため、自身で総合的な管理機関を定める必要がありますが、年1回は行いましょう。
そのため、本記事では標準的なガイドを提案します。
- 校正の目的と対象を決める:
- 例えば、領域検出で検出後に面積で判定しているので、面積のばらつきをスペックにするなどです。
- このように調査する範囲を明示し、対象とする測定パラメータを明確にします。
- 校正基準と基準ワークの選定:
- 基準ワークは湿気や気温で歪む、色褪せるなどの変化が少ないなどの経時変化が少ない物を選定し、
保管し続けることが可能なワークである必要があります。
もし、変化が大きいワークであれば、変わりのワークと類似したワークスペースを作成しましょう。 - 基準ワークの特性や取り扱い方法を文書化し、適切な環境条件下での使用を確保します。
- 校正手順の定義:
- ステップバイステップで実施するための手順書を作成します。
- 手順には、ランタイムの設定や校正基準との比較など、具体的な作業内容が含まれる必要があります。
- 校正頻度と記録:
- 校正頻度を決定し、定期的な校正の実施を確保します。校正頻度は、システムの使用頻度や重要度に応じて適切に設定します。
- 校正の結果や日付、実施者などの情報を適切に記録し、履歴を管理します。
- 測定の検証と精度評価:
- 校正後、システムの測定結果を検証し、校正の効果を評価します。
- 検証には、前年の結果との比較などが含まれますが、必ず再現性について確認してください。
- 画像処理システムは複雑なため、立ち上げ直後から測定項目を絞り切れない場合があります。都度見直しと改善を推奨します。
今後、[装置管理]タグではどのようにシステムを維持するかのTipsを共有したいと思います。