自動撮像/解析設定切替機能~DIO機器運用事例~

自動撮像/解析設定切替機能~DIO機器編~ の記事では、DIO機器の自動撮像/解析設定切替機能の設定手順などについて説明しましたが、今回はその機能の実際の運用事例について説明します。

事前準備について

  • Menou-RNアプリバージョン:1.14.200以上
  • DIO機器:Contec社IOボード入出力端子それぞれ16箇所(例:DIO-1616LN-USB)
  • 自動撮像/解析設定切替用の設定データ

※自動撮像/解析設定切替用の設定データの用意方法は 自動撮像/解析設定切替機能~DIO機器編~ の設定手順ー4.切替の詳細設定****にご参照ください。一例として、図を添付します。

シナリオ説明(どんな場面で使うか)

  • シナリオ1:同じカメラを使用して一つのワークを数箇所に分け、それぞれの箇所で異なるカメラパラメータ[1]で撮像し、異なるモデルファイル[2]を用いて検査を実施することを想定します。
  • シナリオ2:同じカメラを使用して、異なるワークの検査する場合、異なるワークのカメラパラメータ[1:1]で撮像し、異なるモデルファイル[2:1]を用いて検査を実施すると想定します。

上記のシナリオで、カメラパラメータ[1:2]・モデルファイル[2:2]を全部5パターン[3]として想定し、これら5パターンを切替ながら、一個のアプリで検査を実施すると想定します。

IO入出力信号選定及び設定例

Menou-RNアプリの解析編集画面で、豊富なIO入出力項目が用意されています。
今回は、シナリオに合わせて、下記の IO入出力信号の設定を実施することをお勧めします。

  • 入力信号(IN)
    • 検査開始
    • 検査終了
    • 自動撮像/解析設定切替
  • 出力信号(OUT)
    • システム起動中
    • 撮像中
    • 解析中
    • 異常系
    • 怪しい系
    • 正常系
    • システムエラー

上記の信号設定の一例として、下の表になります。

分類 信号 優先度 役割 ポート番号 Low/High 信号入(出)力方式 備考
IN 検査開始 必須 検査開始トリガー 0 High 常時監視 信号受信した場合、検査開始する
IN 検査終了 お勧め 検査終了時トリガー 1 High 常時監視 信号受信した場合、検査終了する
IN 自動撮像/解析設定切替 必須 自動撮像/解析設定切替トリガー 2 High 常時監視 信号受信した場合、カメラ設定及びモデルファイルの切り替えを実施する
OUT システム起動中 お勧め アプリが検査可能時信号 0 High レベル出力 検査可能時に信号出力する
OUT 撮像中 お勧め 撮像中信号 1 High レベル出力 デバイス撮像中に信号出力する
OUT 解析中 お勧め 解析中信号 2 High レベル出力 アプリ解析時に信号出力する
OUT 異常系 必須 解析結果信号 3 High パルス出力 解析結果が異常と判断時信号出力する
OUT 怪しい系 必須 解析結果信号 4 High パルス出力 解析結果が怪しいと判断時信号出力する
OUT 正常系 必須 解析結果信号 5 High パルス出力 解析結果が正常と判断時信号出力する
OUT システムエラー お勧め システム異常信号 6 High レベル出力 アプリ実行時異常発生時信号出力する

Menou-RNアプリの設定画面

※実際の状況では、上記のIO入出力項目の増減はもちろん可能です。
※Menou-RNアプリの設定画面にて、各信号に関する細かな設定は今回割愛します。

自動撮像/解析設定切替信号追加設定

DIO機器で整数値を受信するため、切替パターンの数に応じて、未使用で連続なポート数を設定する必要があります。

今回のシナリオでは、全部5パターンということで、3ポート分を使用します。
入出力端子の「0」、「1」、「2」が使用されたため、「5」番ポートから3ポート分を設定します。

この例では、3ポート分を設定しますと、最大7パターンが対応可能です。
上記の設定項目またはDIO機器で整数値送受信については、 DIO機器との整数送受信におけるMenou-RNアプリ設定画面についての記事をご参考ください。

※実際の状況では、切替パターン数に応じて使用するポート数が変わってきますので、将来的にパターン数が増えることを見込んで設定していただくと良いです。

信号送受信処理フロー説明

上記の信号設定に基づいて、Menou-RNアプリ、DIO機器及び外部制御ソフト三者間の信号送受信の処理フローについて説明します。

正常稼働時の場合

設備に電源投入からシャットダウンまでの正常な処理フローは、下図の通りです。
カメラ設定またはモデルファイル変更する場合は、外部制御アプリで検査開始信号を出力する前に、切替の処理を実行してください。

切替失敗時の場合

下記の原因により、自動撮像/解析設定切替が失敗する場合があります。

  1. 事前設定時のカメラデバイスが変更または別のアプリで占用された場合
  2. 事前設定時のモデルファイルまたはカメラ設定ファイルが見つからない場合
  3. 外部制御アプリから送信してきた切替の整数値に該当する設定は見当たらない場合

切替失敗時に、外部制御アプリに通知するため、システムエラー信号を出力します。
そしてMenou-RNアプリの画面にて、エラーメッセージが表示されます。
切替失敗時の処理フローは、下図の通りです。

もちろん、撮像中や解析中に異常が発生した際には、システムエラー信号として出力します。処理フローは省略します。

正常稼働時のタイミングチャート

上記のフローに従い、正常稼働時に「自動撮像/解析設定切替」から「正常な検査結果出力」までのタイミングチャートを一例として上げます。
タイミングチャートには、Menou-RNアプリで設定可能な入力遅延や出力遅延を含めて、外部制御アプリとMenou-RNアプリそれぞれの信号の入出力タイミングが書かれて、下図の通りです。
一部分のIO信号は省略しています。

外部制御アプリ側で対応して頂くこと

①外部制御アプリ側が自動撮像/解析設定切替信号を出力する前に、まず切替パターンを表す整数値をバイナリ化していただく必要があります。その後、バイナリデータを指定した連続ポート内の下位から上位の順で、「1:High、0:Low」各ポートのステータスを更新してください。

②切替信号を出力方式はパルス出力にしてください。出力パルス時間は30msec以上にしてください。ワーク搬送や検査タクトなどを含めた上で、パルス時間を適宜に変更してください。

おまけに

以下の関連記事もご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 ご質問などがございましたら、気軽にお問い合わせください。


  1. 実際にお使いのカメラメーカーによって異なる場合があります。例えば、カメラの露光時間やゲインなどの撮像に関する設定項目と考えられます。Menou-RNアプリでは、デバイスの設定ファイルとして取り扱っています。 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. Menou-TEアプリで構築したランタイムファイルを意味します。 ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 5パターンの設定について上記の図にご参考ください。 ↩︎

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